
「内定を辞退されてしまい、採用目標を達成できなかった」「以前より内定辞退が増えている」といった悩みを抱える採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
内定辞退は、内定通知後だけでなく、応募から選考、面接までの各タッチポイントで生じた小さなミスマッチが重なった結果として起こるケースも少なくありません。
本記事では、内定辞退が起こる背景を整理しながら、選考プロセスごとに実践できる防止策をご紹介します。一時的な採用テクニックではなく、採用活動で迷った時に立ち返れる基本的な考え方をお伝えします。
※本内容は、2026年6月に開催された導入企業向けセミナーをもとに再構成したものです。

解説者プロフィール:柴原歩美(しばはら・あゆみ)
READY TO FASHION営業・カスタマーサクセスチーム。新卒で金融系企業に入社した後、株式会社READY TO FASHIONに入社。企業の採用支援やカスタマーサクセス業務を担当し、企業ごとの課題解決に取り組んでいる。
まずは、現在の採用市場の状況から見ていきましょう。求職者1人あたりの平均内定保有数は2.3件となっており、複数の企業から内定を得た上で比較・検討することが一般的になっています。
「業務内容や企業の将来性、職場の雰囲気などを比較したい」「給与や働き方など、自分にとってより良い条件の企業を選びたい」「入社後のミスマッチによる転職リスクを減らし、安心して意思決定したい」といった理由から、複数の内定を持っているようです。
特に中途採用では、入社後すぐに成果を求められるケースも多く、「思っていた会社と違った」という失敗を避けたいという心理が働きやすくなります。そのため、企業側はこうした求職者の意思決定プロセスを理解した上で、内定辞退を防ぐための施策を考える必要があります。
次に、企業側の採用状況を見てみましょう。
中途採用の年間採用目標人数は年々減少しており、2025年は2024年と比較して平均14.1人減となりました。実際の採用人数も同様に減少しており、多くの企業が採用計画を見直していることが分かります。

一方で、人材不足の内容にも変化が見られます。正社員の不足感に関する調査では、「人数が足りない」という量的な課題よりも、「求めるスキルや経験を持つ人材が不足している」という質的な課題が増加しています。質的不足を感じている企業は、2024年の48.9%から2025年には55.6%へと上昇しました。

このことから、中途採用は「とにかく人数を採用する」時代から、「自社に合う優秀な人材を確実に採用する」時代へと移行していることが分かります。
従来であれば、内定辞退者が出ても次の候補者で補うことができました。しかし、採用人数そのものを絞り、一人ひとりの質を重視する現在では、それが難しくなっています。
では、なぜ内定辞退は起きてしまうのでしょうか。2025年度の中途採用における内定辞退率は15%となっており、およそ7人に1人が内定を辞退しています。辞退率は年々増加傾向にあり、多くの企業にとって無視できない課題となっています。

内定辞退が発生すると、企業にはさまざまな影響があります。採用広告費や紹介手数料などの採用コストに加え、書類選考や複数回の面接にかかった時間や工数が無駄になってしまいます。
さらに、中途採用では即戦力となる人材を採用するケースが多く、同じ条件に合う候補者をすぐに見つけることは簡単ではありません。その結果、人員不足による業務負荷の増加や、新規事業・拡大施策の遅れなど、目に見えない機会損失につながる可能性もあります。
では、内定辞退を防ぐために採用担当者ができることはなんでしょうか。重要なのは、内定辞退は内定後に突然起こるものではないということです。実際は、応募から書類選考、面接、内定までの各ステップで生じた小さなミスマッチや不安が積み重なり、その結果として辞退という意思決定につながります。

そのため、内定通知後の引き留め施策だけに注力するのではなく、選考の各段階で求職者との認識をすり合わせ、不安を解消しながら入社意欲を高めていくことが重要です。一度辞退の意思を固めた求職者の決断を覆すことは容易ではないため、選考プロセス全体を通じて、「入社したい」と思ってもらえる体験を作ることが、内定承諾率の向上につながります。

内定辞退を防ぐためには、まず「入口」である応募・初期選考の段階を見直すことが重要です。
企業では応募数を増やすために、求人票で自社の魅力を強く打ち出しがちです。それを見た求職者は、求人票に書かれた内容をもとに企業への期待を膨らませます。しかし、選考が進むにつれて求人票には書かれていなかった業務内容や働き方、評価制度などが明らかになり、「思っていた内容と違う」と感じるケースは少なくありません。このようなギャップが積み重なると、企業に対する信頼が損なわれ、内定辞退につながる可能性があります。
だからこそ、応募を集めることだけを目的にするのではなく、入社後の姿までイメージできるような情報を最初の段階から伝えることが大切です。
転職先を決める理由として「給与の良さ」はもちろん重要ですが、それだけで企業を選ぶ求職者は多くありません。実際には、働き方やキャリアアップの機会、職場の雰囲気、企業理念への共感などを重視する人も多くいます。

そのため、求人票には給与や待遇だけでなく、「入社後にどんな業務を担当するのか」「キャリアパスや評価制度」「一緒に働くメンバーやチームの特徴」といったような情報も具体的に記載すると効果的です。
>>詳しくは、過去の記事を参照ください。
自社に合う人材はどう集める?求人票作成で見直したい3つのポイント

求人票だけでは伝えきれない企業の魅力を補完できるのが、READY TO FASHIONの「ストーリー機能」です。ストーリー機能では、画像と文章を組み合わせながら、企業文化や働く環境、社員のリアルな姿などを発信できます。求人票では伝えにくい情報を補完することで、求職者の企業に対する理解を深めることができます。
《コンテンツ例》
・社員インタビュー
・新卒・中途入社社員のキャリア紹介
・1日の仕事の流れ
・オフィスや店舗の様子
・社内イベントやチームの雰囲気

実際に、社員紹介やREADY TO FASHION経由で入社した社員の活躍時例などを掲載している企業もあります。求人票だけでは伝わらない、リアルな働き方や企業文化を発信することで、応募前の期待値を適切に調整でき、入社後のギャップや内定辞退の防止につながります。
次に見直したいのが、面接でのミスマッチです。求職者は複数社の面接を受ける中で、「この人たちと一緒に働きたいか」「安心して働ける環境か」を見極めています。そのため、面接官の印象は企業選びに大きな影響を与えます。
実際に、4〜5割の求職者が「面接官の印象が悪かったこと」を理由に選考辞退や内定辞退を検討した経験があるという調査もあります。一方で、企業側は面接を「応募者を見極める場」と捉えすぎてしまい、無意識のうちに一方的な面接になっているケースも少なくありません。内定承諾率を高めるためには、「評価する場」であると同時に、「相互理解を深める場」であるという視点を持つことが重要です。
中途採用では、限られた選考期間の中で求職者との信頼関係を築く必要があります。そのためには、求職者に質問をするだけでなく、採用担当者自身も自己開示を行い、「話しやすい相手」と感じてもらうことが必要です。
例えば、面接の冒頭では「自身の経歴や入社のきっかけ」「趣味や休日の過ごし方」のようなアイスブレイクを取り入れると、自然なコミュニケーションにつながります。会話を通じて安心感を持ってもらうことで、転職理由やキャリアの考え方、志望動機など、より本音に近い話を引き出しやすくなります。

「求職者が何にやりがいを感じるのか」を理解することも重要です。その指標となるのが、「モチベーションリソース(仕事へのやる気の源泉)」です。
「転職で実現したいことは何か」「これまで最もやりがいを感じた仕事は何か」「仕事を続ける上で大切にしている価値観は何か」などを把握した上で、自社がその希望をどこまで実現できるのかを率直に伝えることが大切です。入社後の配属やキャリアパス、任せる業務などもできる限り具体的に説明することで、入社後のギャップを防ぎ、求職者に寄り添う姿勢を示すことができます。
最後に重要なのが、「フック」と「ネック」を確認することです。フックとは、求職者が自社に興味を持った理由や魅力に感じているポイント。一方、ネックとは入社に対する不安や懸念点を指します。
まずは、フックが事実に基づいているかを確認しましょう。求職者が企業の魅力を誤って認識している場合は、期待値が高くなりすぎないよう正しい情報を伝えることが大切です。また、「なぜ当社に興味を持ったのか」を言語化してもらうことで、求職者自身も志望動機を整理しやすくなります。
一方で、ネックは内定辞退を防ぐ上で特に重要なポイントです。給与や働き方、キャリアへの不安など、求職者は遠慮して本音を話さないこともあります。そのため、企業側から、面接時に求職者が不安に思っている点を引き出す姿勢が欠かせません。不安を曖昧なまま残さず、一つひとつ丁寧に回答・解消していくことが、求職者の安心感につながり、内定承諾率の向上にもつながります。
最後に見直したいのが、内定後の「出口」でのミスマッチです。企業は内定を出したことで一区切りと感じがちですが、求職者にとっては「本当にこの会社に入社してよいのか」と最終的な意思決定を行うタイミングです。
つまり、企業が安心しているタイミングこそ、求職者の不安が最も大きくなるタイミングでもあります。この温度差を埋めることが、内定辞退を防ぐポイントです。
内定辞退の理由として最も多いのが、「他社の選考・内定が進んだため」です。先ほども紹介したように、求職者は平均2.3件の内定を保有しており、複数者を比較しながら入社先を決定しています。そのため、内定を出した後の対応が遅れると、その間に他者への入社を決めてしまう可能性があります。


また、内定承諾までの期間を見ると、約7割の求職者が内定取得から5日以内に意思決定を行っており、そのうち約4人に1人は当日または翌日には回答しています。このことから、中途採用では内定後のフォローは、時間との勝負と言えます。
特に、内定から3〜5日間は最も重要な期間です。オファー面談の日程調整や連絡が1週間以上空いてしまう場合は、運用を見直すことで内定承諾率の改善につながる可能性があります。
内定後のフォローとして重要なのが、オファー面談とオファーレターです。オファー面談とは、内定が出た後に行う面談のこと。給与や待遇を説明する場ではなく、求職者が抱える不安や疑問を解消する場として活用しましょう。
面接中は、評価される立場であることから聞けなかったことも、内定後であれば率直に相談してもらいやすくなります。働き方やキャリア、配属、入社後の期待などについて丁寧に対話することで、いわゆる「内定ブルー」の解消にもつながります。
また、オファーレターは正式な採用意思と労働条件を提示する文書のこと。ただし、このオファーレターも単なる条件通知ではなく、求職者へのメッセージとして工夫することが大切です。給与や休日などの条件だけを記載すると、他社との比較材料になりやすくなります。一方で、選考を通じて評価した点や入社後に期待していること、活躍してほしい理由などを添えることで、「自分だから選ばれた」という実感を持ってもらいやすくなります。
オファー面談とオファーレターを通じて、企業の期待や思いを伝えることが、入社意欲を高める最後のひと押しになります。
内定辞退は、内定後に突然起こるものではありません。応募から選考、面接、内定までの各フェーズで生じた小さなミスマッチが積み重なった結果として起こるものです。
今回ご紹介した内容は、あくまでも内定辞退のリスクを下げるための基本的な考え方と実践方法です。すべての企業に共通する正解があるわけではないため、自社の採用課題に合わせて複数の施策を試し、改善を繰り返していくことが必要です。その上で、内定辞退のリスクを抑え、採用成功につながる仕組みを構築していきましょう。
また、新卒採用では内定承諾から入社までの期間が長くなるため、中途採用とは異なるフォローが求められる場面もあります。READY TO FASHIONでは、採用活動全体を通じた改善提案や、企業ごとの課題に合わせたサポートを行っています。
採用活動でお困りのことがございましたら、お気軽にREADY TO FASHIONの営業・カスタマーサクセス担当までご相談ください。
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